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【書評:うしろめたさの人類学 松村圭一郎】 [いま、ここ、わたし]

最近、難しめの本が苦手です。
感覚を刺激されないというか、頭だけで疲れてしまうというか、なんとも楽しめないんですよね。

だから、この「うしろめたさの人類学」も、twitterでみかけて、ミシマ社の本だし、気になってはいたんですが、難しいかなーと、そこまで積極的にはなってませんでした。

先日、hontoカードとbookoffが連携して「売った本のお金がhontoポイントになる。しかも買取価格10%アップ!」というステキキャンペーンを行ってまして、売った本がそこそこのポイントになっており、かつ、池袋まで落語を聞きに行ったので、帰りに池袋ジュンク堂をひやかしに行ったんですが、気になってた4冊の内、買う気マンマンだった2冊は最後まで読める気がしなくて買わず、買った内の1冊が、この「うしろめたさの人類学」だったわけです。

立ち読みで「はじめに」を読み、文章が好きだな、と思ったのと、エチオピアの話が出てきてて、エチオピアって全然知らないな、と興味をそそられたこと、あと本の脇に簡単なPOPが立てられててオススメされていたこと(たしか三島さんの文章だった)、それと厚すぎなかったこと(重要!)が、買った理由。

数時間で一気に読み、やっぱり好きな本だな、と思いました。

ものすごくためらいながら語られる「社会」や「経済」や「市場」や「贈与」や「世界」や「援助」について。
言葉にするために自分を探って、そこから出てくる何かを語ろうとするその姿勢。

当然、クリアでもないし、切れ味も悪い。

別にバランス良く、当たり障りの無いことを言いたい訳ではないのに、むしろそれとは思いは逆なのに、結果、そういう言い方になってしまう、それしか言えない、という、もどかしさ。

でも、そんなためらいばかりの中で、「公平さ」について語るときに伝わってくる確信に近い思い。

その人の思いを感じながら読むことが好きな私は、やっぱりこういう本は好きだな、と思わされるわけです。

何か知りたいわけではなくて、ただ誰かを感じたいから本を読むのかもしれませんね。

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