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「差別への凝視―365日が3回」大菅新 [それでもどっこい生きてます]

中学教師の学年便りをまとめたものです。3年分ですね。

筆者はしごく誠実でマジメな方だと思います。それは読んでいて良く分かるのですが、正直いって全然心に響きませんでした。

3年分発行した学年便りから人権問題をだけ抜き出したせいもあるのかも知れませんが、とにかくキレイで正しいことを「~しなければなりませんね」とか、「~についてみんな本当に考えているでしょうか?」とか、「~さんの感想は悲しいかなこういうものでした。みなさんどう考えますか?」とか、一つの答えに向かうように強制しているとしか読めなかったのです。

繰り返しますが、筆者はとても誠実でマジメなことは疑いようもありません。
実際に被害があった場所に出向き、そのことを生徒に語る。人として突っ込みようもありません。

でも、わたしにはこの本で筆者が書いていることは、高いところからの「正しさ」の押し付けにしか感じられませんでした。
事実だけを述べるだけで良いのではないか、なぜ「生き方」にまで踏み込んでくるのか。

その「生き方」が正しいとしても、それを押し付けてくる時点で「正しさ」は何か他のものに変わっていると考えないのか、とても疑問です。

ちなみに、まえがきにあげられているテーマ一覧は以下。

「同和問題」
「障害者問題」
「在日韓国朝鮮人に関する人権問題」
「在日外国人の人権について」
「女性問題」
「水俣病問題」
「ハンセン病問題」
「アイヌ民族に関する人権問題」
「広島、長崎への原爆投下について」
「沖縄戦」
「いじめの問題」
「戦争における犯罪について」
「学校間格差」
「オーストラリア先住民アボリジニーについて」
「中国人強制連行」
「日本と朝鮮の歴史」
「カースト制について」
「言葉の暴力」
「人間のうちに潜む差別意識」
「第五福竜丸事件」
「ホームレスの問題」
「HIV感染症問題」
「環境破壊(公害)問題」
「沖縄の土地闘争」
「黒人問題」
「人のために(犠牲とは?)」

筆者がこの文章をみたら、とても気分が悪くなることでしょう。
でも、こういう形での教育はもう限界なのだと思うのです。

あくまでも次の世の中を選ぶのは子供達です。

大人たちが「こういう世界が僕はベストだよ思うよ」とさりげなく言うのはかまいませんが、大人たちが望むような思考をしない子供を排除しようとするのは、はっきり間違っています。

大人たちが間違い続けている様に、子供達もまた間違い続けることでしょう。

でも、もっと子供達を信頼してあげてください。
先回りして、モノゴトを整理するのをやめてください。
大人たちが先回りすればするほど、子供達は従うしかなくなり、自分で何かをしようなんて思わなくなってしまうのです。
大人たちがそんなことを続けてはダメだと強く思うのです。


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山さん

一応教育学部出身なもので少し。
この前カウンセリングマインドというものを知りました。
要は相手の意見をひたすら聞き、整理させ、信頼を築き、その上で自分の意見(主張)を伝え、新たに方向性を築く。
というようなものだったと思っています。

この先生は、信頼感が子どもたちとの間にあったのでしょうか?
そして、仮にそうだったとしても、押し付けだったら、意味がないのも確かなんですよね…。

ただ、必ずしもこういった先生ばかりが現場にいるわけでもないということを少しだけ書かせてください。
押し付けでなく、寄り添っていく先生もいるから、教育は成り立っているんだと。
教育に対する問題が話される時、身内びいきもありますが、つい、責められているだけに感じてしまうもので…。
by 山さん (2006-09-11 21:46) 

ひげたま

教師全般を責める気はなかったのですが、後半が一般論っぽくなってしまったので、そう読めますね。精進します。
この筆者にしても、実際に会ってみれば生徒に寄り添い、ともに歩く先生であるかも知れません。ただ、もしそういう教師だとすると、信頼感が基礎になければ伝わらない話を本として出版する行為がちょっと理解できないなぁ、と思います。

学校、教育、教師の話は、個人的に考え続けているテーマの一つでちょいちょいblogにも書いていますし、これからも書くことがあると思います。
今回の件で「なんか違うなぁ」と思われたとは思いますが、もしよければ、また思ったままの意見をいただけると、とてもうれしいです。
by ひげたま (2006-09-11 22:53) 

整形学部

教育学部の人を見ると、なんとなく覇気がないように感じるのは気のせいだろうか。勉強をうんと頑張っているわけでもないし、適当にサークルやって彼女ができればいいやぐらいな、適当男が私の周りには多かったように感じます。こいつ、生徒になめられそうって奴ばかりが、なぜか教育者になりたがる。不思議だ。
by 整形学部 (2006-09-11 23:01) 

ひげたま

ちょっとblogを見返して教育関係に近いヤツだとこんなことを書いてます。

【「教育不振と教育依存の時代」広田照幸 】
http://blog.so-net.ne.jp/higetama/2006-05-22-1
偉い人は「何が偉い」のか?【「「個」を見つめるダイアローグ」補足】】
http://blog.so-net.ne.jp/higetama/2006-06-04-3
【「教育にできないこと,できること―教育の基礎・歴史・実践・研究」菱刈晃夫】
http://blog.so-net.ne.jp/higetama/2006-06-04

よかったら、お暇なときにでもどぞ。
by ひげたま (2006-09-11 23:18) 

山さん

>ひげたまさん
すいません。私こそ、なんか偉そうに言っている上に、著者さんの否定まで暗に行っていました。反省しています。
リンクしてくださった記事などを読み、思ったことをコメントさせていただこうと思ったんですが、長くなったので、私のブログからTBをはらせていただくことにします。ご親切にいろいろ紹介くださってありがとうございます。

単純に結論だけ書くと、教育もそう捨てたもんじゃないというところでしょうか…。

>整形学部さん
教育学部生って覇気がないですか…。
私は教育学部単科大の出身のため、周りは覇気がありすぎて、「もうちょっと柔軟な考え持てよ」ってやつまでいるような環境でした…。
おそらく総合大の教育学部って、「教養」学部的な要素が強いと思うので、そういう人が多いように感じるのかな?と勝手に思いました。
いかがでしょうか…?
by 山さん (2006-09-12 21:52) 

整形学部

教育学部単科大ですか!想像もつきませんが、覇気があるのはいいことだと思います。大学によって差はあると思いますが、私の地方の国立総合大学では、教育学部の連中は、なんだかお花畑に住んでいそうな連中でした。

もちろん私の偏見もあると思いますがそんな感じです。単科大学になると、それなりの目的意識をもった人が多いだろうし、成績でとりあえず選らんじゃったみたいな人はいなそうですね。教育学部にしても教師のポストがほとんどないから、モチベーションは相当低くなっているのは確かじゃないかな。
by 整形学部 (2006-09-12 23:41) 

ひげたま

まず、整形学部さんに謝ります。ごめんなさい。

私は、あなたのコメントを見て「あ、煽りだな」と思いました。
私の元の記事には触れずに、山さんのコメントの「教育学部出身」という点だけに反応したコメントだったことと、blogのURLがなく、かつちょっとふざけたハンドルだと私が思ったことから、そう判断しました。
でも、2つ目のあなたのコメントでそれは間違いだと分かりました。
すいません。

それと山さん、本当にありがとうございました。
山さんが整形学部さんに応答するコメントを書かなければ、私は整形学部さんを煽りに来た人、とずっと思っていたと思います。
それは、まず整形学部さんに失礼だったと思いますし、私自身ずいぶんと疑り深く、心が狭くなっていたことに気づかされました。感謝します。

元の記事に対するコメントは、山さんの記事の方にコメントさせていただきます。(ちょっと悩み中です)
by ひげたま (2006-09-14 00:21) 

山さん

>ひげたまさん
なんと書けばいいんでしょう…。
気持ちはものすごくわかります。自分の表現したものに対してただ「対抗」してくるだけの人が多くいると、「またか」って気になりますもの…。

私の場合は、「突っ込まれると放っておけない」という性分が上記より勝っているので、つい書いてしまうので、いい方に行ったり、やぶ蛇だったり…。(汗)

ただ、率直に謝られているひげたまさんを見て尊敬しましたし、学ぶこともできました。私も常に斯くありたいと。
こちらこそ、ありがとうございました。

追伸、わかりにくい文章にコメントをつけようとしてくださって本当にありがとうございます。申し訳ありません、修行します…。
by 山さん (2006-09-14 22:26) 

starstory

ひげたまさんの書かれたこと、心に響きました。私も教師です。そして私も同じことをしたと思います。(今は英語を教えていますが、当時は倫理という科目を教えていましたから。)その当時こんなことを言われたら、痛くてとても受け入れられなかったと思います。今は10年以上の年月が経ち、冷静に距離を置いて自分のことも当時のことも考えられますが、それでも痛みを伴う言葉です。それだけ心に響きました。上手に書いてくださいました。
by starstory (2006-09-15 14:12) 

ひげたま

> starstoryさん
記事では偉そうに言ってますが、結局は自分自身に向けた言葉なんですよ。
押し付けがましく、高みから、人を見下して、悦に入っている訳です。
でもそれじゃ嫌なんです。そういうのは嫌なんです。だからこうやって書くしかないのです。
by ひげたま (2006-09-15 23:51) 

S中学校2-3の人

この著者、今私の先生なので、そんなに厳しく言ってあげないで欲しいです。確かに偉そうにしてて見下してるような喋り方もありますが、実際良い先生ですし、教科書に載っていない所まで詳しく、わかりやすく説明してくださいます。本当はとても優しくいい先生なんです。
by S中学校2-3の人 (2012-05-16 21:56) 

ひげたま

> S中学校2-3の人さん
コメントありがとうございます。

大切な先生についてこんな記事がでてきてしまい、びっくりさせてすいませんでした。

コメント頂いて、6年前の自分の記事を改めて読み返してみて、厳しく書き過ぎだと思いました。とても攻撃的な文章で反省しました。
その当時の自分には、こういう書き方しかできなかったのだと思いますが、今なら違った書き方ができるかもしれません。

自分を振り返る良い機会になりました。ありがとうございます。

by ひげたま (2012-05-17 00:13) 

Tommy

私もS中学校2-3の生徒の1人です。
恐らく上のコメントをされた方は私の親友かと思われます。
大菅先生は理科担当で私達の学級の副担任の先生です。
今の時代、生徒が先生に対して尊敬の意を示すと言うことは少ないことと思われます。しかし、大菅先生は私達だけでなく、学校生活に相応しくない制服の着こなしをするようないわゆる、チャラい生徒からも、人生観を変えてくれたと言われるほど良い先生です。またチャラい生徒から控えめな生徒の、一人一人のことまで本当に生徒愛をもって接してくれます。
確かに授業中でも辛辣な言葉を発せられることもあるので、苦手な生徒はいますが、とても興味深い実験を行ってくれたり、豚の心臓の解剖映像をお見せくださるなど、理科の先生としても非常によい先生です。人の見方はそれぞれなので、ひげたまさんの意見につきましても少々攻撃的な部分を除けば、別に良いと思います。しかし、本当に心から生徒を愛する先生だと言うことを分かって頂きたいと思います。僭越ですが、私の意見を述べさせて頂きました。
by Tommy (2012-11-18 22:34) 

ひげたま

Tommyさん、コメントありがとうございます。

私の意見は私の意見として受け取っていただけたこと、ありがたく思います。(今読むと意見というより感情の爆発みたいなものですが)

また、お二人にコメントして頂いたことで、大菅さんがとても良い先生なことがわかりました。

記事についてはその当時の自分の気持ちを表したもので自分だけの気持ちで言えば残しておきたいですし、お二人以外にもこの記事をきっかけにコメントしてくださった方々の意見も残しておきたいので、今のところ修正や削除はしないつもりです。

他人任せではありますが、こうやって誠実なコメントをつけてくださる方がいる限り、大丈夫にも思いますから。

by ひげたま (2012-11-19 01:35) 

夜鷹&RON-龍-

2-3の人とトミーです。
大菅先生がいい先生だとわかっていただけたならありがたいです。
by 夜鷹&RON-龍- (2012-11-19 13:35) 

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