「余裕のない日本を考える」吉本隆明 [それでもどっこい生きてます]
吉本隆明の本はエッセーしか読んだことがないのですが、いつも薄味にするすると通り過ぎて行きます。悪く言えば気の抜けたコーラ。
でも、多分この薄味こそが吉本隆明の目指すところなのだろうな、という印象は強く持っています。
「何者でもない知識人」という、一般的に知識人と呼ばれる人は目指さないし、目指せない境地。
私は、そんな存在の仕方が出来る吉本隆明をうらやましく感じますし、自分が死なないで生きていく為にもその謎が知りたいと思います。
本の後半にあった、太宰治についての高橋源一郎との対談、村上春樹と村上龍の評価および戦前戦後の社会についての江藤淳との対談が、とても面白かったです。
あと、サリン事件について多く取り上げられていて、どんどん自分の中で風化していくオウム事件の再認識を迫られました。
ちょっと古めの本を読むというのも、こういった効用があっていいものですね。
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