「懐かしい年への手紙」大江健三郎 [それでもどっこい生きてます]
こんにちわ。
去年末、いきつけの床屋に行った時のことですが、知的障害者の人が後から来ました。20歳中盤ぐらいの人でしょうか。
わたしの住んでいるトコロの近くに、障害者の作業所があるらしくて、障害者の人はバスなどでも割とよく見かけます。
その人は、よくくる人らしく、床屋のおかみさんと色々な話をしてました。飛行機がすきで今月もその雑誌を買ったこと。来月、父親と飛行機に乗ってどこかへ行く予定で楽しみなこと。ボーナスが出て、そのお金で車の本を買うか飛行機の本を買うか決めかねていること、などなど。
そのつど、おかみさんは「そうなの~」とか丁寧に相槌を打ちつつ、髪を切っていました。
そんなやり取りが長い時間続いたあと、ふいにその人が「ぼくのはなし面白くなくてごめんね」って、おかみさんに言いました。おかみさんは「そんなことないよー。好きなこと一杯あっていいねぇ」といい、彼は「うん、そうなの。それで・・・」とまた話は続いていったのでした。
なんか、その告白のストレートさに、ハッとさせられ、また、なんともいえない気持ちになりました。今も、その自分の気持ちをドコにどう置けばよいのか分からないままです。
大江健三郎の「懐かしい年への手紙」読み始めました。なにやら、この前よんだ「同時代ゲーム」と設定がダブっていたりして、不思議な感じです。
どうやら、「同時代ゲーム」も含めて、作者の自伝を物語にしてあるようで、「懐かしい年への手紙」には、彼の息子で知的障害者である「光」さんがモデルだと思われる「ヒカリ」という人物が出てきています。
まだまだ読み始めなので、なんともいえませんが、彼がこのお話にどう関連してくるのか楽しみでもあり、また、いやおうなく、その床屋のワンシーンを思い出させて、なんともいえない気持ちにもなったりしています。
では、また。
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