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ささやかな喜び [いま、ここ、わたし]

二日前、仕事場のロッカーキーを無くしてしまった。

仕事中に貴重品を預けておくことができるロッカーで、財布やスマホを入れていた。

仕事が終わって、さて帰ろうとした時に鍵をなくしたことに気付いて、探したけど見つからず、総務の人にお願いしてマスターキーで開けてもらった。

鍵をなくした場合、修理代として二千円かかるとのことで、そのお金を払い、とりあえずは貴重品も戻ってきたんだけど、色々節約している時なので、二千円払ったのは、かなりショックだった。

総務の人は、「仕事を一生懸命して、悪気はないのに無くしてしまったのに、お金をもらうのは申し訳ないんだけど」と、とても同情してくれて、「よく、意外なところから見つかったりするから、諦めないでね」とも言ってくれた。

★ ★ ★

鍵をなくしたのは、その日、いつもと違う作業をしていたから。

スーパーの水産部門専用の冷凍庫があって、暖かくなってきたせいか、壁や床の上に垂れてきた水が氷となって張り付いて、ちょっと危ないし、使いづらくなってきていたので、氷を割って捨ててほしい、とサブマネージャーにお願いされ、いつもの仕事が一段落してから、40分ほどかけて掃除をしていた。

狭くて寒い冷凍庫の中で、初めての作業でよくわからないまま、やれることをやってみていた。

氷は結構固いところもあったりして、小さいハンマーをガンガン振ったりして、全身動かしていた。

ロッカーキーは胸ポケットに入れていたんだけど、作業中、胸ポケットに入れていた別のものが落ちて、それにはすぐ気付いて回収したのに、ロッカーキーが胸ポケットから落ちたことには気づかずに、そのまま作業を終えて引き上げた。

掃除の甲斐あって、冷凍庫は結構キレイになったし、開け閉めしづらかった扉もスムーズに動くようになって、やってよかったなぁ、と思っていたのに、ロッカーキーをなくしていた。

一応、冷凍庫は一通り見たんだけど無くて、割った氷をバケツに集めて下水に捨ててたから、たぶんその時に気づかずに下水に流してしまったんだと思いこんでいた。

それから二日間、氷をすてた下水を上から何度か覗き見て、鍵がないかなぁ、と思ったりしたけど、見当たらず、すっかり諦めていた。

★ ★ ★

そんな感じで、すっかり諦めていたのに、今日、ひょんなところから鍵が出てきた。

水産部門は水を使うし汚れやすいので、専用のエプロンや上着がある。

毎日取り替えてもいいんだけどクリーニング済みの在庫がなかったりするので、在庫があって、汚れたり濡れがひどい時に交換している。

今日は3連勤の最終日で、仕事から上がって服の在庫を確認したら丁度あったので、次回の勤務用に新しい服を確保して、使った制服は使用済み服置き場に置きにいった。

上着の袖が長いので、いつも折り畳んで使っているんだけど、クリーニングに出す時は、折り畳んだり、結んだりしたものを元に戻してクリーニングに出してる。ルールとして書いてあるわけじゃないけど、その方がいいかな、と思って。

今日も、そうして上着の袖を元に戻してたら、「チャリン」と音がして、ロッカーキーが床に落ちた。

胸ポケットから落ちた鍵は、上着の袖を折り畳んだところに、すぽっとキレイに挟まっていたらしい。

着替えた時にも違和感がなかったし、まさかそんなところにあったなんて。

「わぁ!」と驚いて、さっそく総務へ行こうと思ったら、同情してくれた総務の人がたまたま通りかかって、「鍵、みつかった?」って聞いてくれて、「今、見つけました!」と報告。

「やっぱり、あったでしょ!きっと出てくると思って、まだ手続き進めてないの。二千円、返すね」と、すぐ二千円を返してくれた。

すごい嬉しくて、小躍りしながらしゃべっていたので、周りの人は「なんだ?なんだ?」みたいな顔をしてたけど、とにかくびっくりしたし嬉しかった。

★ ★ ★

その総務の人は、前からとても気さくで丁寧な方だなぁ、と思っていたこともあり、なんとなく頼りたくなる人で、今回の件もあって、さらに信頼度があがった。

ロッカーキーが見つかったことも嬉しかったけど、こうやって素直に人を信頼できる感じが、とても心地よく、この場所で働けてよかったな、と、思った一日だった。

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